連続講座2006「自然エネルギー」
どうする?これからの環境とエネルギー |
★★視察会2・「木質バイオマスを使ったスターリングエンジン実証実験」の見学★★
講師 大塚憲昭氏(里山倶楽部)
今年最も脚光をあびた自然エネルギーといえば、なんといってもバイオマスです。原油の高騰により、オイルピーク説が囁かれ、バイオエタノール燃料(BEF)やバイオディーゼル燃料(BDF)が注目を集めました。
連続講座でも、今回からバイオマスの登場です。
12月10日に行われた「視察会2」は、万博公園で行われている里山倶楽部のスターリンエンジンを活用したコージェネレーション実証実験の見学を行いました。
万博公園は開設以来30年以上を経過し、園内の樹木の間伐、剪定から生まれる木質バイオマスの量は160t/年にのぼると推定されています。
実験は、自然文化園内で行われており、里山倶楽部の大塚昭憲さんに説明していただきました。
薪ボイラーで発生した熱を利用してスターリングエンジンで発電し、余熱で給湯を行うシステムです。計画では、スターリングエンジンの出力は800kWで電熱あわせた総合熱効率が90%弱という高効率システムとして設計されています。
見学で驚いたのは音が静かなことです。通常の発電機のような騒音はありません。スターリングエンジンは熱による気体の膨張/収縮を利用して回転する外燃機関であり、内燃機関の特有の爆発音がありません。また、熱の漏れがほとんどなく、寒い日だったので暖を取れるかと期待した見学者を落胆させました。高効率の所以でしょう。
給湯は園内の足湯に用いられ、発電した電気は蓄電され、給湯ポンプその他のシステム電源として活用されています。
都市部にも街路樹、公園、個人住宅の剪定枝など木質バイオマスは一定量存在すると思われます。また山間部に比べて回収運搬の条件が良いことなど有利な条件もあります。今回の実証実験の結果が気になるところです。
なお、この実証実験はNEDOとの共同実験です。